ことばのまえ Sou NAKAYAMA

Sou NAKAYAMA

  • 川辺

    2013.03.31

    blog20130331

    新しい仕事が始まり2ヶ月が過ぎた
    会社の裏手には大きな川が流れている

    午前の労働を終えてお昼に
    川まで歩いてぼんやり川辺で過ごす時間が好きだ

    海鳥がたくさん飛んでいる日や
    潮のかおりが強い日
    鳥がまったく飛んでいない日

    ぼんやりのなかで触れる変化は
    僕に何も求めて来ないから寛容だ

    足元を海鳥の子どもが鳴きながらうろうろと
    落ち着きなく歩いている日があった

    何かを探しているようにも
    ただ無邪気に遊んでいるようにも感じられた

    野良猫も雀もそうだけれど他の生命とは
    それぞれの距離感がある

    これ以上近寄ってこない他の生命との距離に
    どこか潔くも哀しき境界を感じる

    でもその境界は可視的なものなのだと
    ちいさいころから信じている

    他の生命を認知すること
    他の生命の振動を感じることで

    その可視的な境界を越えて交ざり合ったり
    溶け合ったりしているのだと信じている

    ぼんやりのなかで触れる変化に
    いつもそんなことを感じている