ことばのまえ Sou NAKAYAMA

Sou NAKAYAMA

  • 2013.11.03

    IMG_7864

    ここのところ
    布団に入り目を閉じると
    雷が音もなく光り消えていく

    むかし見たことのあるような雷だと
    思いながら
    眠りに落ちていく

    天と地を結ぶその幾筋もの光が
    どこかで命が生まれ亡くなる度に発生するものだとしたら
    音がないことにきっと救われている

    いくつかの台風が通り過ぎ
    山奥にある婆ちゃんのお墓が気になっていたため
    山へ向かった

    お墓には風で倒された樫の木が横たわり
    思っていた以上に荒れていた

    折れた木や枝を運びだし
    夏に供えた干からびた花を抜き
    ほうきで落ち葉を掃き線香を炊き煙草を供えると

    鳥が一羽頭上から羽ばたき
    内側に閉じていた耳が開き
    溢れるように一斉に日常の音が蘇ってきた

    葉の揺れるかさかした音
    川の流れる音

    足音
    衣擦れの音
    誰かが話しかけてくれる声
    車の音 街の音

    全てが久しぶりに聴く
    音のような気がした