2013.11.03
ここのところ
布団に入り目を閉じると
雷が音もなく光り消えていく
むかし見たことのあるような雷だと
思いながら
眠りに落ちていく
天と地を結ぶその幾筋もの光が
どこかで命が生まれ亡くなる度に発生するものだとしたら
音がないことにきっと救われている
いくつかの台風が通り過ぎ
山奥にある婆ちゃんのお墓が気になっていたため
山へ向かった
お墓には風で倒された樫の木が横たわり
思っていた以上に荒れていた
折れた木や枝を運びだし
夏に供えた干からびた花を抜き
ほうきで落ち葉を掃き線香を炊き煙草を供えると
鳥が一羽頭上から羽ばたき
内側に閉じていた耳が開き
溢れるように一斉に日常の音が蘇ってきた
葉の揺れるかさかした音
川の流れる音
足音
衣擦れの音
誰かが話しかけてくれる声
車の音 街の音
全てが久しぶりに聴く
音のような気がした